続けざまに似たような症状をお持ちの方がお二人来院されましたので、もしかしたら他にもどうすればいいのか原因不明で困ってらっしゃる方がいるかもしれないと思い書かせて頂きます。
共通点はいずれも女性で60代と80代で、耳が痛いから耳鼻科に行って診察を受けたけど異常なしと診断を受けました。異常無しのまま辛い思いをし続けて数ヶ月経過しているということでした。
60代の女性は左の耳が痛く、総合病院も含めて3件の耳鼻科を回ったようですが、異常は見つからなかったらしいです。右下の歯も調子が悪くそのことを耳鼻科の先生に訴えたら、歯科受診を勧められて今回の受診に至りました。
この方の場合、右下の歯も確かに悪かったのですが、耳が痛い、耳鳴りの原因は顎関節の不調だったのです。ちなみに顎の自覚症状はほとんどありませんでしたので、なかなか自分でも気付かなかったようです。
簡単な体操をしてもらうと耳の痛みはその場で和らぎ、「なんか楽になった」ということだったので、それでその日の治療は終了したら、次回にはもうほとんど症状は消えていました。
80代の女性は受診した耳鼻科は1件だけでしたが、顎が開きにくいという自覚症状があったため、その解決を目的に来院されました。1回目、先の60代の女性と同じような簡単な体操をしてもらうと顎の開きも少し楽になるが、まだ痛い。2回目にまた痛くなってきたと急患で来られたので低周波を60分当てました。この直後半分くらい痛みがとれました。3回目来院されたときには顎はまだ痛いけど、耳の痛みはかなり減った、という報告を頂きました。ご本人の努力もあり、残っていた顎の痛みをリハビリとセルフケアによって改善されてきています。今後も顎のケアを続けていくことによってさらに元気になれる(他にもいろいろな不定愁訴があり)可能性があるとお伝えし、一緒に経過を診させてもらっていますが、とても順調に回復されていっております。
ここで重要な要素は耳鼻科的疾患が否定されているということです。耳が痛いならまず耳鼻科です。
次にオススメしておきたいのは脳神経外科です。この二つで異常なしということであれば、歯科を受診してみてください。お二人とも歯科で治るなんて思ってなかったみたいなので、なかなかこの答えに辿り着けてない方も多いかもしれません。
続けざまに似たような方が来院されましたので、顎関連の話になってしまいましたが、その他に上の奥歯の虫歯、炎症による痛み、親知らずの違和感、顎の骨の腫瘍なども耳の痛みと感じてしまうことがあります。
歯科的疾患で耳の痛み、耳鳴りが起こることは十分考えられます。歯科由来で、長期にわたって慢性化している耳の痛み、耳鳴りでなければ早い段階で改善できる可能性は高いです。
顎の治療についての当院の考え方はこちら「顎関節症の治療について」をどうぞご覧ください。